本サイトへ戻る
カテゴリー一覧

【2016年1月号】2016年経済を占う

2016年が明けた。申年の今年はどのように展開するのだろうか。
わが国を取り巻く世界は不安定要因が重なり、ボタンのかけ違いで不測の事態が起こり、従来のシステムが大きく転換する可能性があることはマンスリーレヴューでも述べた。このような不安定要因が取り除かれることが望ましい。
 
ただ、わが国自体はアベノミクスも一応順調で、安倍外交は積極的に多極的に新しい領域に踏みこんで開発型で、一応の成果を挙げており、2020年の東京オリンピックをめざして進んでいるといえる。

さて、去る12月の日銀短観では、企業の景況判断指数(D.I.)は大企業製造業で前回9月と変わらずプラス12で、原油安による原材料コストの低下が景況感を下支えしたといわれ、企業収益は好調で設備投資は強気の計画がほぼ維持されたといわれる。大企業非製造業の景況観もプラス25で、1991年11月調査以来24年ぶりの高水準といわれる。また、小売は小幅に悪化したといれるが、外国人観光客の需要が高く、プラス22と高水準を維持しており、通信や情報サービスも改善されている。

このように全体に好調であるが、先行きには企業の不安心理が表れているといわれる。すなわち、大企業先行きの悪化が目立つが、特に中国経済の影響を受けやすい生産用機械・自動車鉄鋼などの悪化が目立っており、新興国経済の減速の影響が大きい。また、宿泊・飲食サービスや対個人サービス・小売りといった訪日外国人需要に弱さがみられるといわれる。設備投資については、好調な収益状況を背景に強気の計画が維持され、2006年度以来の高水準が維持された。 
 
今後は円安進行による輸出や収益の大幅な上積み効果が見込みにくいので先行きに対する弱気の見方が広がっているといわれる。
 
このようにすでに始まっている中国の減速を背景とした新興国経済の減速が大きくのしかかっているといってよく、これに対する分析と対応が大きな課題となっている。
(会長・板東 慧)


地球儀 の他の最新記事