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【2015年11/12月号】パリ同時多発テロをめぐって

11月13日金曜日、パリが同時多発テロに見舞われた。9.11米国同時テロの再来を思わせるが、原因や状況はかなり異なる。今回は、イスラム教を風刺した週刊新聞などが標的となった1月のフランス連続テロから約10 カ月後の惨事で、夕刻から深夜にかけて、シリアで計画されてベルギーに送り込まれた8 人の実行犯による、パリでのカンボジア料理店とサッカー競技場・劇場・イタリア料理店の4 カ所での銃撃と爆発を含む自爆テロによる大量虐殺である。犠牲者は少なくとも129 人に及ぶ。犯行声明は14 日に行われ、シリアにおけるフランスの「イスラム国」への爆撃に対する報復を主張した。

オランド仏大統領は、14 日に閣僚会議を緊急招集して国防会議を開催し、同盟国とともに「イスラム国」に徹底した報復を行う旨声明し、パリに1500 人の軍を配置して非常事態宣言の長期延長を決断した。イスラム国はシリアやイラクで劣勢に追い込まれた結果、欧州一円でのテロを狙ったとみられるが、欧州各国は米国とともに本格的にこれに対応する態勢を取りつつある。世界はこの動きへの対応を迫られているが、テロの実行犯がシリア難民から出ていることは明らかであり、かつ「イスラム国」がテロの主導者であることを含めて、難民問題への対応が緊急かつシビアな段階に入ってきたことは明確であり、アジアにもその影響が出てくることは必至であり、わが国もシビアな対応を迫られることになる。アジア・サミットやオリンピックなど、国際的な役割を果たさねばならない課題を抱えているわが国は、改めて国民あげて対応すべき課題を果たしていくべきであろう。 
(会長・板東 慧)


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