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【2012年10月号】国内矛盾転化の「中国反日」の見苦しさ

中国が反日で荒れている。珍しいことではないが、尖閣諸 島に何とか手がかりを作ろうという中国側の焦りという他は ない。正当な反論をあげられない、中国の不正義な行動であ る。しかし、今回はTVなどを見ても毛沢東の肖像画を掲げる ことが流行となっているように見える。

重慶事件で追放された薄煕来が、毛沢東礼賛・復活で 派手な活動をしていたが、追放後も大きな影響力をもってい るのではないか、と推察され、問題の複雑さを物語る。

共産党政府は今回の反日運動で結局、重慶と同じような ことをやっているので、その区別がついていないように見られ る。結局、政府があおるから、民衆の反日デモは強化されてお り、野放図な暴力が拡大した。

当初、政府は反日暴力を助長したので、全国で反日テロリ ズムが拡大したようだ。しかし、これが拡大すると、事態は反 日→反政府運動に拡大しかねないことから、反日暴力抑制 に転換しつつ、それが徹底しないという様相を呈した。

さまざまな情報から推察するに、これらの反日テロは、むしろ アウトローが中心のようである。高度経済成長の中で拡大す る格差、そして急速な経済の失速。この数年で大学就学生 を2倍に拡大したが、その卒業生は新卒で5割程度が就職 し、大卒の失業者が都市に潜在し、また田舎に戻っている。 大学新卒者の中に大量の不満分子がおり、それよりステイタ スの低い、最も大量の解雇や格差下層者が増大し、社会暴 力に巻き込まれる層が増大し、今回の反日デモを政府も推奨 しているので、大衆が参加し、暴力化したといえる。

大体「日貨排斥」などというスローガンが中心で、日系企業 を破壊するなどというのは、19世紀の反植民地闘争であり、 多数の日系企業の従業員がおり、しかも日系企業や産業で 生活が向上してきたことを認める市民が日系企業破壊という テロを行うということはいかに政府が推進しようとも拡大する はずはない。中国市民もそれほどバカではない。共産党政府 に対する不満を持つ層が大量に存在して、彼らの不満が政 府に後押しされて反日テロに大量化したもので、彼らの不満 はこの次に反政府に転化するのは明らかなので、最近では 暴力行為取り締まりを強化し、逮捕者が続出している。

現在、中国経済は急速にその矛盾を露呈し減速してい る。国内矛盾は激化し、不満分子が増大している。

中国のマスコミでも反日デモの中味が不満分子の行動で あると表現している。この意味で中国政府の「やらせ」がどこ まで続くか。中国の国内内部矛盾として、われわれは注視し つつ、対応すればよいのである。

少し時間がかかるが、日本の品位を下げる対応措置を取 る必要はない。態度を変えるのは中国側なのである。中央幹 部選挙への影響を恐れつつ中国はいやがらせの積み重ね に終わらざるを得ない。中国文化大革命で他国の外交施設 や企業に被害をもたらしたことを詫びてもいない。今回もまた 同じように責任回避をしようとしている。これこそ問題である。

中国では国内の暴力デモを含めてメディアはほとんど報じ ていない。国民全体に知らせたくないのか。不可解である。                                                           (伴)


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