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【2008年2月号】未熟化・幼稚化する日本政界を憂うる

福田内閣 が成立して4か月、ねじれ国会・早期解散などという野党の呼号の中で、低姿勢・融和姿勢を貫いた福田内閣は新テロ特措法など、法案の成立には一定の成果を 上げ、政権の寿命も6月までとか、今年一杯とか任期満了までなどと延命の予想もみられるが、政局は不分明な霧の中をダッチロール中に見える。

しかし、もっとも問題なのは、選挙管理内閣的な成立要因を有していたとはいえ、未だに福田内閣の目標や性格が曖昧で、期待された内閣改造さえ見送られた ことである。例えば、構造改革を継続するのか、財政均衡回復のための積極的努力を進めるのか、成長経済路線を推進するのかといった、小泉内閣以来の路線を 踏襲するのか、放棄するのか、転換するのかがいずれも曖昧で、しかも年金問題にしろ、薬害問題にしろ、内閣の意思決定が遅れがちで危機管理能力が低いと言 わざるを得ない。特に経済政策がアイマイなために株価の低落や経済低迷への没入など困難が迫っている。早急に内閣の姿勢の明確化が求められる。自民党につ いても派閥能力が落ちたことは一面において小泉改革の結果として評価されるが、逆に派閥が果たしてきた有効な政策形成能力や政治能力が低下して、単なる烏 合集団になっている。例えば、この未曽有の原油価格高騰の中で、国際的にも高すぎる我が国のオイル価格について、暫定と言いつつ実質長期化してきた道路暫 定税率をめぐってガソリン税の引き下げなど、国民生活への寄与について抜本的な知恵を出すことも重要であろう。そのような画期的な政策転換や政治能力を発 揮する大人の政治が求められる。

片や民主党は参院選挙の大勝で、即時国会解散とか首相問責決議とか、憲法が明記している参院否決案件の衆院再議決が不当かのような流説をまいてみたりす る。一方で、テロ特措法が憲法違反であるかの如き小沢代表の言説に対して、党内からは公然と反論があり、対案の提出は遅れたが、その対案は政府案へのスレ 違いに過ぎない内容であった。また、額賀財務相証人喚問問題では参院が相互の人権重視のため伝統としてきた「証人喚問は全会一致で」というルールを、民主 党が多数派の横暴で破り、共産・社民各党からも反発を食らった。しかも召喚の根拠を、問題の容疑者に当たる守屋前防衛次官の証言のみに頼っていたが、それ が虚偽であることが明白となったにもかかわらず正式な謝罪をしていない。これは民主党にとっては前原前代表の引責辞任に至った前回の轍を踏むもので、いわ ば前科一犯ものである。これ以外にも小沢代表の重要案件国会採決欠席問題が批判にさらされて揺れている。新テロ特措法では民主党は野党共闘を自らつぶす結 果となった。年金問題の長妻議員など多くの有能な議員の活動がある一方で、どうも執行部や国対の幼稚で稚拙な常識的に見て未熟極まりないミスと思い上がり が続き、与党周辺には、民主党は選挙で勝っても思い上がりから世論の支持を失うというジンクスありと指摘する声もあるようだ。折角、世論調査では「民主党 に一度政権をとらせては」という傾向があるのに、このままでは心もとない。いずれにしても、政界再編必至の中で、与野党ともに深慮遠望と言い得る重厚な政 治への思慮と行動を望みたい。(伴)


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