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【2005年3月号】日中は新しいアジアに向けた関係を

中国という国が大変に日本にとって気になるようになった。

今日、わが国を抜いて世界第3の貿易国となり、対米輸出でわが国を抜き、わが国の輸出では対米を抜き、賃金コストもわが国の10分の1程度になってき た。わが国からは巨額のODAを受取りながらASEAN諸国に資本輸出している。そればかりではなく、進出した企業の多くが、当初の約束と異なった制度変 更や売上金の回収不能にぶつかったり、偽製品の被害を受けている。何よりも江沢民政権以来の反日扇動教育の被害が高まっている。さらに、東シナ海島嶼での 領有権侵害や不法海底探査など、眼に余ってきた。

こういった中国の態度は、戦後状況から脱出できていなかった国交回復以前には、それなりに戦後問題未解決から派生するものとして、ある程度はやむを得な い面があるとしても、戦後60年を経て経済協力や新しい関係形成に向かっている時期には、明らかに無用な非難というべきものである。江沢民は、特に、個人 的感情として反日にこだわり、いたずらに事実を曲げてでも日本の軍事的罪悪を誇大に取り上げた面もある。すでに講和や条約によって解決済みのものについ て、繰り返し注文をつけ何らかの見返りを要求する態度は好ましくない。日本側にも毅然たる態度が欠けていたり、個人の利益や政治的立場のために利用する政 治家がなかったわけではなく、厳しく対処すべきである。

ところで、江沢民政権の反日プロバガンダが、逆効果を発揮し、国内の所得格差の拡大や人権抑圧等による不満が中国政府に向くべきところを反日に向けさせ ている傾向が見られる。重慶問題がそれである。中国政府は、いざとなれば市民を弾圧することは辞さないが、この種の問題はむしろ制限していない。江沢民に 代わって出て来た胡・温政権は、より自由で情報公開的といわれるが、必ずしもそうではなく、少なくとも表面は江沢民路線と変わらない。何故なら軍を含め て、急激な変化はマイナスだからである。しかし明確なことは、上海閥中心に江沢民人閥排除を徹底する激烈な暗闘が繰り広げられていることである。上海での 汚職の中心・周正毅の逮捕、上海の陳党書記の更迭等がすすみ、胡主席の政治基盤である共産党青年団出身幹部15人が、各省の幹部に配置され、江沢民と交代 した軍事委員会主席の地歩も着実に固められたといわれる。

中国は、今まで、巧みに北朝鮮カードを使って、時には北朝鮮との共同を演じ、時には北朝鮮を追い込んできた。しかし、今回の北の核保有に関しては、金政 権の最終段階と認識したのではなかろうか。恐らく1年以内に、金正日交代が画策されよう。中国は、オリンピックまでは周辺を含めて政変などを極力抑えよう としてきた。しかし、北朝鮮を6カ国協議に参加させ得ないとなると面子丸つぶれとなる。

中国は、今バブルの中で、消費物価も上昇中であり、キャリアの給与は上昇しているが、大学卒の25%が就職難であり、オリンピック後の不況も予測され る。さらに、現在の高成長は、各省の成績競争で成長争いとなっており、統計そのものの信頼性にも問題があり、バブルがいつはじけるかが危惧され、西部農村 地の貧困による社会不安はきわめて大きいといわれる。そして6割を超える国有企業の劣悪さとそのリストラによる大量失業が存在しているということである。 このようなことがあるから、中国政府は、反政府的行動を反日行動に振り向けようとするのであろう。いずれにしても、アジアの新時代を拓くためには、姑息な 関係ではだめなことだけは明確である。日中共に心すべきことである。(伴)


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