ON・I・ON3のこれまでとこれから
●ON・I・ON3研究会の開催
国際経済労働研究所では、1996年、生涯発達心理学や社会心理学、臨床心理学の研究者から成る研究会を再編しました。
●生涯発達研究
近年の国内外の生涯発達研究によると、人はその誕生から死まで生涯に渡って成長し続けると考えられています。 ON・I・ON3研究会では、これまでの知見をレビューすると共に、独自に人格成熟段階の予備調査を実施し、生涯発達段階とその特徴を調べました。その結果、上記の考えが裏付けられ、人は青年期(ほぼ20歳)以降6つの段階を経て成長することが分かりました(巻末資料参照)。
●心の地図
国際経済労働研究所では、生活空間の枠組みを作成する試みとして、世の中のあらゆる事柄を表す言葉を収集し、最終的に138項目に集約しました。これら138項目を関心の高い・低いによって多次元座標上(生活空間)に位置づけることで、個人的な興味・関心の広がり、すなわち「心の地図」を描くことができます。 1994年に実施された予備調査では、「心の地図」は大きく4つの領域に分かれることが明らかになっており、更に詳細な調査を進めると「心の地図」のタイプによって個人をタイプ分けすることも可能となります。
●ライフプランニング・シミュレーション・システム開発への参加
ON・I・ON3研究会では、人の労働生活について将来をシミュレーションするソフトウェア開発に携わりました(1997年度開発)。 そこでは、人格特性、キャリア志向、働きがい、仕事への参加と関与、ストレス、メンタリングなどの各要因と、企業内でのキャリア発達度や人格成熟度との関連から、一人ひとりの労働生活についてメンタル面での現状診断およびその結果に基づく将来予測がなされるようになっています。
●予備調査
自己実現的生き方[社会人版](三川,1998)、キャリア発達度(神藤,1997)、メンタリング行動と受容(田中,1997)の測度を新たに作成しました。
1.働く人々にとっての生活満足について、仮説構造モデルを検証します。具体的には...
課題 | 効果 |
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「仕事」「家庭」「余暇」「地域社会」といった 生活領域や暮らしの実態を把握する。 | 実生活の在り方や生活スタイルを特定できます。 |
生きがい発見の切り口として、その人の 価値観体系や心の地図 を知る。 | その人が求めるライフスタイルと現状とのギャップが見出せます。 |
生活領域ごとの ソーシャルネットワーク を明らかにする。 | 個人を取り巻く支援ネットワークの中で補充すべき点が分かります。 |
生涯発達理論に基づき、各発達段階(各世代)の特徴と問題 を明らかにする。 | 各世代に合わせたきめ細かい対応策の立案が可能になります。 |
生活の質の指標として、「生活満足度」の測度(自己報告式尺度)を標準化する。 | 他の指標との組み合せにより、生活満足の促進要因と阻害要因が分かります。 |
組合が行っている活動 or 行うべき活動 と比較検討する。 | 現行の組合活動の点検と新たなアクションプログラム作成に活かせます。 |
