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活動レポート

オルグ日記 2026年5月 | 労働組合は怪しい?

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調査運動のオルグ――共同調査に参画する仲間集め――にたずさわる吉浜と宮田が、日々の仕事のなかで思うことを発信します。社会のこと、労働組合のこと、様々な"運動"のこと。日々感じることを軽やかに楽しく伝えられたら、という試みにご期待ください。

労働組合は怪しい?

 「オルグ」「オルガナイザー」という職業を家族や学生時代の友人、ご近所さんに言っても通じないので隠している。それくらいオルグは知られていない。「怪しい」のだ。

 労働組合=オルグと言ってもいいくらいに一定の労働組合には染み付いている言葉だと思う。そうなると、労働組合は「怪しい」組織だということになる。

 そんな労働組合をオルグしている我々は、地下の方でとんでもなく怪しい研究をしている集団ということになるわけだ。

 つまり、経労研のオルグは、「労働組合」と「労働組合を相手にオルグをする研究所」という非常に閉じた空間の中で成立している活動だ。研究所で働くものとして、まずそれをよく知っていなければならない。

 知ったうえで私たちが長期的にやろうとしていることは、「オルグ」を怪しいと思われないようにすることだ。もっと正確に、マニアックに言えば、「オルグ」を怪しくないと認識される社会を作ることだ。欲をいえば、一般の人にとってもごく普通の活動、そして、身近な活動だと思ってもらうことだ。つまり、「開かれた」概念にすることだ。

 労働組合がいつまでも「わかってくれる人だけで良い」と閉じた世界に甘んじていると、そこに積極的に関わることは社会的にも恥ずかしいことになってしまう。あるいは偽善だと思われる。これはNPOのボランテイアやPTAの役員もそうだ。せっかく少しだけ「あ、この世界は自分の生活や安全と関わりがあるのだ」と分かってしまった人の行動が、偽善だ、正論だと言われて進まない。評価されない。人がついてこない。つまりオルグになっていない。誰のためにもならない。これが残念ながら今の社会だ。

 

 ポイントは、ここまで書いたことは私たちの思い込みではないか、ということだ。労働組合やNPOや自治会やPTAなどあらゆる運動体に積極的に関わる人が、「どうせ理解されないだろう」という先入観をいかに捨てられるかが第一歩だ。

 数年前、高校の友人とランチをしてた時に仕事の話になった。その友人は恥ずかしそうに私に「労働組合って知ってる?今、私、労働組合っていうところにいるんだ」と遠慮がちに言った。その言葉には確実に「理解されないだろうけど」というニュアンスが含まれていた。もちろん私は動じるわけはない。その組織は、経労研の組合員意識調査を何十年も経年でやっている、もしかしたら私の方が彼女よりもよく知っているのではないかという組織だった。なんとそこで彼女は調査担当をしており、私の同僚と日々やりとりをしているということがわかった。

 自己開示をしたときは勇気がいったと思う。それ自体がおかしなことだが、それが現実だ。

 

 私たちは普段、「組織の現実を変えましょう」と労働組合に伝えているが、この「労働組合」「オルグ」を開かれた概念にするために調査運動のオルグをするならば、それは十分に価値のあるチャレンジだと思う。

 そのためには、最初からさまざまなチャンネルで人と関わっておくことが大事だ。そして開かれたチャンネルでコミュニケーションを行うことだ。

 高校時代から知っている友人だから、労働組合の役員になっても友人関係が保てると思ってくれたのだろう。日経Womanなどのキャリア女性の経歴を紹介するページで、スタートアップ企業で夢を叶えた社長のページと並んで、現職の労働組合の委員長がかっこよく映っていたら、「これは特別な人ではなく、私たちと同じ世界線にいるのだ」と目に映る。少しずつ現実が変わる。

 

 私たちの社会には、正直、労働組合をメジャーにするよりももっと大きな社会問題がいくらでもある。貧困、紛争、地球温暖化、少子高齢化、外国人労働者問題。これらは別々に存在しているわけではなく、すべて繋がっている。なぜなら私たちの社会は1つだからだ。労働組合のような公的な組織が正当にその意義を評価され、専門性や人々との繋がりを活かして労働問題を解決することは、また別の問題の解決につながる。社会問題の解決に多大なる貢献をすることができる。

 

 だから、労働組合はなくなってはいけない。悪の結社でなければ、組織は弱くなっていいことはないのだ。

 それなら私たちの日々の労働組合に対する調査運動のオルグも意味があると胸を張って言える。冬と夏の間に春がなくなってきたなと思いながら、束の間の「ちょうど良い季節」に組合を訪問して歩いていくのだ。

オルグ 吉浜智美

※コラムの内容は研究員個人の見解です。
 必ずしも研究所全体の考えを代表するものではありません。

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