活動レポート
それはとある秋の日、連合茨城さんをご訪問したときのこと。
「すべての県民へアプローチする運動に向けて、一般市民の意識を把握したい」
そのようなお話をおうかがいしました。
相談を進めながら、アンケートは昨年の夏に実現。茨城県民のみならず連合茨城の組合員さんにも回答いただき、2つのデータを比較した分析を、10月の衆院選前にご提示することができました。
「組合員を対象とした調査と一般市民を対象にした調査で、そんなに異なることがあるんだろうか」と思いませんか?
組合員と一般市民の結果を対比させて見たとき、たしかに組合員と一般市民で地域政策に望むものが劇的に異なるわけではありません。
しかし、労働組合のない企業の労働者や、非正規労働者、自営業者やフリーランスなど、労働組合員に含まれない人が置かれている生活状況や家族形態、そこから描かれる人生設計は、組合員が前提とするそれとは大きく異なります。それゆえ、日々の暮らしや政治・政策に求めるものやその求めかたには、明確に違いが現れます。
労働組合の組織率が2割を大きく下回る今、「すべての労働者のための運動」と言うときに、労働組合員でない労働者の状況把握の上に組み立てられることで、その運動はより実態に即した運動として実現されるのかもしれません。
だからこそ、貴組織や、貴組織と同じ問題意識を持つ組織のかたがたに、「第58回共同調査」(コミュニティ・ウェルビーイングの向上とアドボカシー)をご紹介したいと思います。というのも、本調査の目的は、「すべての労働者のための運動を支えるエビデンスの提供」にほかならないからです。
ご存じのとおり、国際経済労働研究所は日本において、数少ない労働運動専門のシンクタンクです。「専門社会調査士」の資格をもつ研究員が在籍し、運動の実態とそこに込められた思いに寄り添った調査設計、配布計画、質問内容の作成、分析、報告書作成を担います。
各地域の労働運動のリーダーであるみなさまに、その運動の航路を定めていくのに必要な本質的なエビデンスをご提示しています。また、「データが意味するところ」をお伝えすることで、数字という客観的なものからあぶり出される「人々の考えと、それにもとづく行動」を明らかにし、貴組織で取り組む活動の次の一歩に向けて提言を行っています。
本アンケートは、「地域のウェルビーイング(暮らしやすさ、幸福、福祉)の向上」という各組織共通の目標をベースに、「ウェルビーイングの7つの指標」で共通設問を設け、ベンチマークデータと比較し相対的に貴組織の立ち位置を見られるようにしています。
同時に、組織ごとに異なる問題意識は、ヒアリングを経て的確な設問を個別に組み込むことで、貴組織が必要とするデータをピンポイントで得ることができます。マクロな視点とミクロな視点を含む、バランスのとれた調査を行うことで、柔軟性を持ちながらも揺るぎない軸のある運動作りにつながるのです。
これから、調査のプロジェクトの流れを見ていきます。
貴組織における課題感や知りたいことをお伺いしましたら、それが分析結果に現れ出てくるような質問内容を研究員がご提案します。回答者が判断に迷わないように尋ね方や順序を検討したり、回答者を不快な気持ちにさせアンケートから離脱させてしまうことのないよう文言を精査したりと、専門社会調査士の目ですみずみにまで気を配ります。選択肢は、回答者がどれかを選択できるよう重複なくかつ網羅的に作成した前提で、貴組織が知りたいことが分かる内容を盛り込みながら、他の設問の分析との関係性も念頭に置き、過不足なく設置します。設問の順序も大切ですので、回答が誘導されることで“使えないデータ”とならないよう工夫をこらします。
回収に際しても注意が必要です。貴組織が得たい情報を得るには、どのくらいの回答数が必要でしょうか。居住地、年齢、就学期間など、回答者の属性に偏りが生じない配布方法になっているでしょうか。これらの問題をクリアして十分な分析が行なえるよう、丁寧な配布計画を一緒に立てていきます。もっとも、調査は一回勝負。十分な数の回答が集まらなかったり、すこし偏ってしまうこともあります。でも、心配はいりません。統計学の高い専門知識とそれに基づく適切なデータ処理により、「得られた回答から分かることを、可能な限りすべて知りつくす」技術と姿勢を、担当研究員は持ち合わせています。
設計が完了したら、いよいよ調査の開始。一般市民を対象としたアンケートは、アカデミックな世界でも利用される、信頼できるインターネットモニター会社にて回答を集めます。もし、並行して貴組織組合員にも同じ調査を行なう場合には、構成組織への周知や協力依頼などの手配をお願いします。
アンケートが終了しデータが集まったら、分析を開始します。数字が端的に並び全体像を俯瞰できる「集計データ」と、視覚的に分かりやすい図やグラフとともに要点やポイントを漏れなくしっかり把握いただける「報告書/レポート」を作成しご納品。また、研究員から直接解説し、その場でご不明点を解消いただける「報告会議」も実施します。貴組織の調査担当者だけでなく、会長以下、構成組織を含む貴組織の役員のみなさま全体にて、調査結果とそこから浮かび上がる地域の現状を共有し、認識を一つにできます。
まずは、オンラインガイダンス(無料)はいかがですか?1時間程度の打ち合わせで、貴組織の課題感にあわせて、調査のイメージや全体像を十分につかんでいただくことができます。ご検討を無理強いするものではありません。もしご説明がご関心やご興味にそえなかった場合には、その場でお伝えいただいても問題ありません。
「すでに自組織で実施している経年調査がある」という場合には、それを踏まえてご提案することも可能です。貴組織で調査されたデータをいただければ、分析、または、再分析を承れます。たとえば、「設問を削減したいが、経年調査のため簡単に減らせない」という課題をお持ちの場合には、これまで把握してきた内容が引き続き経年比較できるよう、質問項目の統合・削減案をご提示します。
貴組織にて、未組織の労働者への運動の波及や一般市民の認知度向上に有効なアプローチを模索しておられるようでしたら、その人たちの意識や考えを聴き、運動に活かすということについて、どんな風に実現していけるのかご興味をお持ちではないでしょうか。
下記の問い合わせフォームから「58回共同調査説明希望」と送信いただきましたら、すみやかにオンライン打ち合わせを設定させていただきます。
私たちは、本アンケートの実施によって、貴組織でめざす運動が明日からすぐにうまくいくとは申しません。ですが、本アンケートが貴組織にとって、今後のお取り組みの根拠としていつでも立ち戻り、心強いエビデンスとして活用可能な、信頼できる情報となるということは、保証いたします。
すべての労働者のための運動の実現と深化に向けて、一緒に歩んでいきませんか。
敬具
追伸:
ご案内しましたオンラインガイダンスの中では、お見積についてもご案内可能です。お気軽にご相談ください。