[研究所活動報告]第52回共同調査「労働組合組織と活動の機能」

Topic1 どのような活動が組合員の「関与」を高めるのか?
 ~意識データと組織データを紐づけ、調査・分析


●国際経済労働研究所では、2018年、新たな共同調査である第52回共同調査「労働組合組織と活動の機能」の調査設計をスタートさせました。 昨年は、特に"情報宣伝分野"に特化したパイロット調査を企画し、これまで研究所の意識調査に参加実績のある全国の労働組合に呼びかけたところ、70組織から協力を得ることができました。そして、これらの回答を分析し、翌年3月には結果をまとめた報告書を提出するに至りました。


★調査結果を一部紹介すると・・・ 本部の情報宣伝を企画する人の合計人数/全組合員数(%)

カネよりヒトへの注力がポイント

・組合の中で情報宣伝を企画する人数の割合が高い
・企画には担当者任せではなく情宣担当以外の中執も関わっている
・ホームページの企画・編集を外部委託でなく内部(情宣担当)が行っている
ほうが、そうでない組織と比べて組合員の「組合関与」が高い

さらに、
・情報宣伝に予算をかけている組織ほど組合関与が高いということはいえない
という結果が確認されました。


<調査概要>●調査時期 2019年9月中旬〜12月中旬 ●調査内容 組織構造に関する17設問と情報宣伝活動に関する141設問  ●分析対象 全82組織 ※調査に参加した70組織のうち、組織規模とその運営の自律性から、地方本部を単位として回答を行った組織を含む



Topic2 コロナ禍の今、組合の情宣はどうあるべき?
 ~調査結果をもとに活発な意見交換

●8月4日、6日の2日間にわたり、本パイロット調査に参加した組織から約50名が集まり、結果の読み取りや各組織の現状などについて、活発な意見交換を行いました。意見交換会では機関誌や大会議案書など、各情宣媒体の形態や使い方、位置づけが組合員の意識とどう関連するのかについて、結果を確認しながら議論を深めたほか、このような時期ということもあり、非対面でのコミュニケーションのあり方(ホームページ活用やSNSなど)に多くの関心が寄せられ、情報交換を行いました。

意見交換会資料イメージ 意見交換会の様子


※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、Zoomを使ったオンライン上で行いました



調査結果については、他にも様々な興味深い結果が確認されています。これらの結果の解釈も含め、組合関与・評価に及ぼす影響を体系的に検討するには、さらなる調査の展開が必要です。今後、情宣以外の分野を含めた調査内容の設計を進展させ、組織構成・活動の把握とその機能性の検証を行っていく予定です。