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Int'lecowk 2021年9月号(通巻1113号)特集概要

2021春闘 成果と今後の課題(後編)

本誌は、春闘の成果と今後の課題を毎年定例的に特集している。特集は本号および前号(8月号)の2号にわたり、本号はその後編である。


特集1は、日本労働組合総連合会(連合)総合政策推進局長 冨田珠代氏に、「2021春季生活闘争を振り返って」と題し、2021春闘の特徴と結果を踏まえてご執筆いただいた。2021春季生活闘争は、「緊急事態下にあっても、賃上げの流れを継続することの重要性を確認した闘争」であったとし、これまでの労使の信頼関係を礎に生産性三原則にもとづく真摯な協議・交渉が行われ、企業・産業の持続性とコロナ禍からの経済回復に向けた大きな基盤づくりにつながった、と評価している。また、2022闘争への主な課題として、①「社会対話の場の必要性」、②「分配構造の転換につながり得る賃上げ」、③「適切なセーフティネット機能の創設」を挙げている。これら3点の課題を踏まえ、引き続き、社会のセーフティネット機能の強化に取り組むとともに、経済、社会、産業の置かれた状況などを精査した上で、「感染症対策と経済の自律的成長」の両立と「社会の持続性」実現に向けた対応について検討を深めていく、としている。


特集2以降は、産別組織へのインタビューである。特集1の連合・冨田氏の論文にも記載されているが、各産別組織は、コロナ禍の難しい状況にあっても、これまでの賃上げの流れを止めることなく、各組織で力強い闘争が展開された。今年の取り組みが来年以降どのようにつながっていくのか、引き続き注目される。賃金以外の観点では、テレワークに関する環境・ルールの整備や、高齢者雇用関連(定年延長等)の議論が進んだことなどが、今年の春闘の特徴と言える。


インタビューにご協力いただいた組織は(略称、組織規模順)、UAゼンセン、電機連合、JAM、基幹労連、生保労連、情報労連、フード連合、サービス連合である。自動車総連については大会後にインタビューを行っており、別途掲載を予定している。インタビューを通して、コロナ禍での2021春闘は、春闘の社会的意義や、労働運動・組合活動の重要性、健全な労使関係の重要性を再確認する機会にもなったということが感じられた。


また、前編(8月号)では、日本女子大学名誉教授 高木郁朗氏による論文「2年目のコロナ禍春闘をふりかえる」を掲載しているので、あわせてお読みいただきたい。


本特集にあたって、ご協力いただいた皆様に、感謝申し上げます。

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