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Int'lecowk 2021年11/12月号(通巻1115号)特集概要

私の社会政策、労働問題研究を振り返る

Contents

私の労働問題研究を振り返って
石田 光男(同志社大学名誉教授)

私の労働問題研究を振り返って:「同一価値労働同一賃金」研究に到達する
遠藤 公嗣(明治大学名誉教授)

私の社会政策・社会保障研究を振り返って
埋橋 孝文(同志社大学社会学部 教授)

私の<家族と労働の社会学>研究を振り返って
木本 喜美子(一橋大学名誉教授)

本特集「私の社会政策、労働問題研究を振り返る」は、社会政策、労働問題等の分野で大きな業績を残してこられた方々に、これまでの研究を振り返って自由に執筆いただいたものである。各氏のこれまでの研究の道のりの苦労や充実感、研究成果、そして研究への熱い思いが伝わってくる内容となっている。また、具体的なエピソードも多く入れられており、読みやすくまとめていただいている。さらに、これからの社会政策、労働問題を考える上での重要な視点もいくつも示していただいている。


特集1は、石田 光男氏(同志社大学名誉教授)に「私の労働問題研究を振り返って」と題して執筆いただいた。「私の労働研究を振り返って最も私らしさが出ているのは、仕事の記述をするための方法として仕事論を提唱してきたことだと思う。」と述べており、仕事論を軸に話が展開されている。この研究に踏み込むことになった契機、仕事論を方法とした二つの調査(GM調査、パナソニック調査)も紹介されている。最後に、仕事論の固有の理論的意義、政策的含意についても述べられている。


特集2は、「私の労働問題研究を振り返って:『同一価値労働同一賃金』研究に到達する」と題し、遠藤 公嗣氏(明治大学名誉教授)に執筆いただいた。本稿では、「同一価値労働同一賃金」の分野の研究史を振り返っている。「コンパラブルワース(Comparable Worth)」という言葉との出会いから、本分野の研究を深めていく過程が、研究テーマや共同研究者などとともに具体的なエピソードを交えて記述されている。今後は歴史研究をもう少し深めたいとし、ILOによる「同一価値労働同一賃金」奨励についての研究、米国の歴史事情についての研究を挙げている。


特集3は、「私の社会政策・社会保障研究を振り返って」と題し、埋橋 孝文氏(同志社大学社会学部 教授)に執筆いただいた。携わってこられた労働問題研究、社会政策・社会保障研究のうち、紙幅の関係上、後者にフォーカスして述べられている。埋橋氏の研究活動の柱は、「福祉国家の国際比較研究」と「『子どもの貧困』問題と生活困窮者自立支援」であり、今後に向けての問題意識として、社会政策における「政策論」の緻密化の必要性を提起している。


特集4は、木本 喜美子氏(一橋大学名誉教授)に「私の<家族と労働の社会学>研究を振り返って」と題して執筆いただいた。家族研究と労働研究とをつなぎたいという思いから研究の道に進まれ、相互に閉じた領域領究をつないでいくことが魅力的であったと振り返っている。研究テーマは大きく①大企業労働者の労働と家族に関する研究、②職務分離分析から労働組織のジェンダー分析、③女性たちはどこでどのように働いてきたのか、であり、それぞれ具体的な内容をご紹介いただいている。


最後に、本企画は、特集3の執筆者でもある埋橋 孝文氏(同志社大学社会学部教授)に多大なご協力をいただき、実現したものです。改めてお礼申し上げます。

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