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春闘に思う
篠田 徹(早稲田大学社会科学総合学術院 教授)
〈インタビュー〉2026春季生活闘争方針
芳野 友子(日本労働組合総連合会 会長)
春季生活闘争( 以下、春闘) は、労働組合の諸活動のうち中心的なもののひとつに位置づけられる。その目的は賃金改善にとどまらず、労働者の生活保障や政策・制度の実現、社会的課題の解決など、すべての働く仲間のための運動として展開されてきた。
2024 年、2025 年の春闘では連続で定昇込み5%台の賃上げが実現し、2026 年度の取り組みは持続的な賃上げが継続するのかどうか、社会的な注目はより高まっているといえる。また、中小の規模間格差をはじめ、格差是正が進むのかについてもより注目される。
弊誌の2 月号では例年、春闘方針を取り上げており、今号は、早稲田大学社会科学総合学術院教授の篠田徹氏による論稿と、連合会長・芳野友子氏へのインタビューを掲載している。
特集1 は篠田教授による「春闘に思う」である。連合の春闘方針等を踏まえて、春闘の意義や期待、また中長期的な課題等についてご執筆いただいた。労働政治研究を続けてこられた篠田教授ならではの、「春闘を切り口とした日本の労働政治」について、歴史的な流れ、海外との比較もふまえつつ述べていただいている。また、「春闘は年に一度国民が自分たちの働きかたをつうじて暮らしかたをみんなで議論する」機会であるが、この話し合いのファシリテートをできる人が少なくなってきていることを指摘している。多くの場合、組合役員がこの役割を担うと考えられるが、この育成問題は、春闘とそれを支える労働組合の社会的意義を考えると、社会問題ともいえる公共的課題であると述べている。
特集2 は、連合会長の芳野氏へのインタビューである。連合では、2022 年から、春季生活闘争について「経済成長や企業業績の後追いではなく、産業・企業、経済・社会の活力の原動力となる『人への投資』を起点としてステージを変え、経済の好循環を力強く回していくことをめざす」とする考え方のもと、「未来づくり春闘」を展開している。この4 年目を迎えた「未来づくり春闘」の方針のポイントや、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配、適切な価格転嫁・適正取引に関する取り組み、「すべての労働者の立場にたった働き方」の改善などについてお話をうかがっている。