(公社)国際経済労働研究所 所長 本山 美彦
英国の報道機関、「インディペンデント」が2025年12月24日の記事で、極端とも言える現行の金融寡頭制への危惧を表明した。
少数の大手の金融機関が、債務危機に喘ぐ途上国相手に莫大な利益をあげていると、インディペンデントは、15か国の調査結果を公表した。大手というのは、ブラックロック、ゴールドマン・サックス、JPモルガンの3行である。3行ともに、途上国用の専門のファンドを運用している。
ブラックロックが21億米ドル、ゴールドマン・サックス9億米ドル、JPモルガン7億米ドルもの利益を債務途上国相手に得たと推定される。また、この3社を含む債権者全体は、これら15か国から総額600億米ドルの利益を得ていた(2025年度)。
「朝日新聞」(2025年1月15日)によれば、ブラックロックは、2025年末時点の運用資産14兆410億米ドルと過去最高を記録した。株式相場が最高値圏で推移したこともあるが、新規事業のプライベートクレジット・ファンドによる融資が寄与したのである。しかし、10~12月期の純利益は前年同期比33%減の11億2700万米ドルだった。
私見ではあるが、ブラックロック本体の利益が11億米ドルしかないのに、債務途上国相手のファンドでは、21億米ドルもの利益をあげていたことは、先進国間取引の赤字を、債務途上国相手のファンドが穴埋めしていたのであろう。
2022年から2024年の間で、低所得国において対外債務を返済するための資金流出が、新規融資による資金流入を合計で7,410億米ドル上回り、過去50年で最も大きくなったとも「インディペンデント」は指摘した。これら諸国は、輸出収入の2倍以上の額を対外債務の返済に充てている国もある(https://globalnewsview.org/archives/987497514)。
アフリカ等における過剰な債務の現状に対して、世界銀行と国際通貨基金(IMF)は、1990年代はじめから、「構造調整プログラム」(SAPs)という政策を実行してはいた。しかし、この政策は、厳しい緊縮財政や貿易の自由化、国営企業の民営化の促進などを課す政策であった。
当然、この政策は国内投資の低迷や公務員の失業増加、貧困層の切り捨てなどにつながるとして「国連アフリカ経済委員会」(ECA)が批判していた。こうした構造調整プログラムの批判を受けて、世界銀行とIMFは1996年に「重債務貧困国イニシアチブ」(HIPCI)を作成して、低所得国の債務返済を削減した。さらに2005年には「マルチ債務救済イニシアチブ」(MDRI)が開始され、HIPCIとMDRIによって、多くのアフリカの国々を含む37か国約1,000億ドル以上の負債を削減させた(https://globalnewsview.org/archives/12218)。
実際には、その効果はなきに等しいものであった。現在進行しているのは、新興国の独裁権力が、レアアースなどの貴重な採掘事業を相次いで起こし、その事業を国際的な巨大ファンドを通じて民営化させ、ファンドは先進国の富裕者たちの資金を導入しているのである。この構図は、かなり早期に破綻するであろう。
2026.3