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2-2 バロメーターとしての「働きがい」

 企業活動を根の深い木に例えると、デザインや価格、笑顔やあいさつ、売り上げや業績など、顧客や市場から見えるものは「葉」にあたります。短期的には「葉」を青々と茂らせることは可能でしょうが、一方で外からは見えない「根」が弱っていたら、長期的には「葉」も枯れてしまうと考えられます。企業活動における「根」とは、会社やその製品・サービスに対する誇りや使命感、仕事への動機づけであり、さらには「コミュニティの中で、自らの持つ技術を後輩に伝承していくのが当たり前」という組織風土のことなのです。

 この会社の「根」を、日本的な企業文化が支えてきたのではないか、また、企業別労働組合が「根」に効いているのではないかという仮説が以前からありました。これをデータで検証するには、「正確に」測定することが必要でした。
 
確かめてみると、「終身雇用」や「年功型の賃金」「間接金融」、そして「企業別労働組合への組合員の関与」といった日本的な経営が、会社の「根」を強くしてきたということが明らかになりました。やはり、日本的経営は「根」に効いていたのです。もちろん日本的経営にも悪いところはあります。しかし、だからと言ってすべてを壊してしまう必要はなかったのに、壊してきたことが逆効果だったのではないでしょうか。

ON・I・ON2では、経営のカウンターパートである労働組合が注目すべき指標としては、「カネ」よりも「ヒト」重視の文化を示す第一線の従業員(すなわち組合員)の内発的WMが非常に重要であると考えています。そして、その内発的WMを中心としたWMのバランスが会社の「根」の強さを表していることも示唆しています。
 


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