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働きがいの社会心理学的アプローチ

モティベーション(動機づけ)理論と働きがい

"動機づけ"とは,簡単にいえば私たちの行動を生じさせるプロセスのことで,"内発的動機づけ"とは,「当の活動以外には明白な報酬が全くないような活動(Deci,1975)」のことをいう。すなわち,内発的動機づけを職場場面でいえば,達成感ややりがいを持って仕事に気持ちを向けている状態だといえる。内発的動機づけは"働きがい"の中核となる概念といえよう。

人は、外界からの要請(例えば、行動をすればお金がもらえる、行動しなければ怒られるなど)により活動するものと考えられてきた。

外発的動機付け

しかし、外界からの要請がなくとも、行動することによって得られるやりがいや喜びなどのために、行動するというプロセスがあることが明らかになった。

内発的動機付け

仕事における内発的動機づけの促進は,勤労者の関心を仕事に振り向け、結果として仕事への意欲を高めるので産業・組織場面でも注目されてきた。なかでも,実験社会心理学の分野で提唱された認知的評価理論(Deci,1975)では,内発的動機づけと外発的動機づけは相補的な関係にある(内発的に動機づけられ仕事をしている人を,外発的に動機づけると内発的動機づけが低下する)ことが示唆されている。

こうした理論のユニークさが,産業・組織場面での応用可能性,例えば,内発的動機づけを高める仕事のあり方や内発的動機づけを低下させない賃金制度のあり方など,が評価され,関心が寄せられてきた。

しかし、この認知的評価理論について,内発的動機づけと外発的動機づけの相補的な関係など実験的研究で蓄積された知見は、現実の産業場面において十分確認されていないという問題があった。そこで,実験社会心理学において発展した内発的動機づけの研究を、産業場面に適用し、その有効性の検討を行った。

  • 産業場面においても有能性と自律性(あるいは自己決定性)は,内発的動機づけを促進するか
  • 職務内容や報酬構造の違いによって,内発的動機づけと外発的動機づけ過程の顕現性に差異が見られるか
  • 内発的動機づけと外発的動機づけは産業・組織場面でも相補的関係にあるか


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