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地球儀  鈴鹿山麓北のマンボ

(公社)国際経済労働研究所 所長 本山 美彦

 ここでの「マンボ」は、ラテン音楽のmambo のことでなく、イランの「カナート」(qanat)に似た水利施設を指している。カナートは、イランから世界各地に伝わり、中央アジアから東部では、一般的に「カレーズ」(karez)と呼ばれている。

 イランの高原部や、新彊のタリム盆地では、地面の奥深くの地盤が水を通さないために、自然に溜まった地下水が地中に浸み込まず、長い時間、地下に留っているので、蒸発時間も長い。そのために、地下水の塩分が多くなり、潅漑に適さない。

 そこで、これら地域では、古代から、山麓部で得られる良質の水を水源とし、これを暗渠によって利水地点まで送水する施設として、カレーズが作られてきた。

 カレーズは、短い竪坑(たてこう)と長い横坑が組み合わされて出来た施設である。横坑の長さは、20 ~ 30 ㎞ほどのものが多数ある。北アフリカのフォガラ地域のカレーズの本数は、1965 年頃に約1,500 本、総延長は5,000 ㎞ほどあったとの調査結果が出されている(https://www.tokyo-geo.or.jp/technical_note/bv/No43/4.html)。この水利施設は、イラン高原では、今でも3万本以上が稼働しており、農村部での生活用や農業灌漑用として実際に利用され続けている(https://gec.jp/gec/jp/Activities/pr/fy2010/kouza/kouza20101120.pdf)。

 なお、新疆のカレーズを発展させたのは、アヘン戦争を引き起こし(イギリスによるアヘン密輸の取り締まりを行った)、のちに新彊に左遷された林則徐である。

 このカレーズ、つまり、日本におけるマンボが、岐阜県の西濃地域に位置する垂井盆地には115 本(垂井町114 本、関ヶ原町1本)確認されている。全マンボのうち60%が、相川北部の岩手川と大滝川の間にあり、20%が、相川南部の大谷川と御前谷川の間にある。短いもので20m、長いものは1,200m あるが、200 ~ 400m のものが全体の70%を占めている(https://gakuen.gifunet.ed.jp/~contents/tyu_shyakai/jinbutu/manbou/bunpu.htm)。

 韓国にも地下横穴水路である「マンヌンボ」がある。これもカレーズの一種である(https://www.vill.minamiminowa.lg.jp/uploaded/attachment/1271.pdf)。

 方位に従ったピラミッドがエジプトやマヤ文明だけでなく、世界各地で見られるように、カナートもそうであるという事実に、私は興奮している。

2026.5

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