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3-2 組合は社会への入り口

 昨今、「自分さえよければ」という考え方が行き過ぎた、いわゆる“モンスター”が社会的な問題になっています。ここで無視できないのが、こういった一握りの“モンスター”の行動を見て見ぬ振りをしている大半の人々(“サイレント・マジョリティ”)の存在です。「間違っている」「おかしい」と心の中では思っていても、口に出さない、つまり自分から関わろうとしないことが、自分でも気づかないうちに、クレーマーを生み出し、モンスター化させることに加担してしまっているのです。

労働組合の姿も、これと同じ構造ととらえることができます。「サービスの対価としてお金(=組合費)を払っているのだから、サービスを受けてあたりまえ」というお客様意識は、“モンスター”と共通しています。

 国際経済労働研究所のデータで、組合に関与している人の方が会社に関与している人よりも社会に目が向いているということが確認されています。これは、逆に考えればわかりやすいことです。つまり、自分の身近な問題、職場内外の問題を執行部任せにしている=組合関与が低いような人が、社会にまで目が向くはずがないということになるからです。例えば、組合活動の中でモンスター、クレーマーといわれるような行動をしている人は、労働組合以外のところにおいても、「自分さえよければ」という意識のもと、同じような行動をしてはいないでしょうか。さらに、組合員をお客様にしてきてしまったこれまでの労働組合にも、その社会的な責任の一端があるのではないでしょうか。

 組合関与を高めることは、自分たちの職場や会社を自分たちでよくしていこうと行動できる組合員を育て、増やしていくことです。そのことは結果的に会社の根を強くし、ひいては社会を荒廃させないことにもつながっていると考えられます。
 


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